更年期障害
更年期障害
日本人女性は平均50歳で閉経を迎えますが、その前後約10年間(おおむね45~55歳)を「更年期」と呼びます。この時期には、卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンが減少します。エストロゲンは全身に作用するため、その減少によりさまざまな不調が生じ、日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」といいます。主な症状には、のぼせ、動悸、冷え、不眠、イライラ感、頭痛、めまい、疲労感、肩こり、腰痛などがあります。

当院では、更年期の年代で上記の症状を訴えられる方に、10項目の質問票に回答していただき、簡易更年期指数(SMI)を算出し、問診や診察結果と合わせて総合的に診断しています。
また、のぼせ(ホットフラッシュ、多汗)や動悸では甲状腺機能亢進症、めまいでは貧血や起立性低血圧、不眠や頭痛では睡眠時無呼吸症候群などの内科疾患が隠れていることがあるため、丁寧な問診や診察、必要に応じた血液検査を行い、これらの疾患を除外しています。
婦人科では女性ホルモン(主にFSHやエストラジオール)を測定することがありますが、更年期障害の診断に必須ではありません。当院では、必要と判断した方にのみ測定しています。
簡易更年期指数に基づいて生活指導を行い、51点以上の方には、症状やご希望に応じて薬物療法をご提案しています。
当院で行っている薬物療法には、漢方薬とヒト胎盤由来プラセンタ製剤(メルスモン®)注射があります。
漢方薬では、
・加味逍遙散(かみしょうようさん):最も広く用いられ、イライラ、不安感、肩こり、のぼせなどに有効です。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):のぼせ、足の冷え、頭痛、肩こりなどに有効です。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え、むくみ、貧血、めまいなどに有効です。
※当院ではホルモン補充療法(HRT)は行っておりません。
メルスモン®は、1956年(昭和31年)に承認された医療用医薬品です。国内で提供された安全なヒト胎盤を原料とした注射薬で、さまざまなアミノ酸や生理活性物質を含有しており、更年期障害に対して保険が適用されます。
3回程度の注射で症状の改善を実感される方が少なくありません。また、副次的な効果として、肌の状態が改善する方もいらっしゃいます。
副作用として注射部位に皮下出血を生じることがありますが、痛み止めの成分が含まれているため、局所の痛みは比較的少ないとされています。
提供される胎盤は、B型肝炎、C型肝炎およびHIV感染が検査で否定されたものを使用し、高圧蒸気滅菌により細菌やウイルスを不活化したうえで製造されています。また、異常プリオン蛋白は通常の滅菌処理では完全に不活化できないことが知られているため、狂牛病の流行地域への滞在歴がある方から提供された胎盤は使用されていません。
現在は、プラセンタ製剤を使用された方は献血や臓器提供に一定の制限がありますが、これまでに製剤の安全性は十分に確認されており、今後この取り扱いが変更される可能性があります。
保険適用の対象年齢は一般的に45~59歳です。治療開始時は週2~3回の注射を行い、症状が改善して安定した後は週1回程度の継続をおすすめしています。
なお、定期的な通院が難しい方には、ご希望に応じてブタ胎盤由来のメルスモン リキッドやカプセルもご案内しています。
更年期症状でお困りの方、生活習慣病を合併されている方、婦人科の受診が難しい方は、お気軽にご相談ください。